本記事では、戦略的資産クラスとしての「銀(Silver)」の商品特性を図やグラフを用いてわかりやすく解説します。需要シェアやボラティリティ、キャピタルゲインなど。

銀の需要シェア — 価格形成との関係 —
銀は「何に」、「どの程度」需要があるのでしょうか。
「銀」に限らず、投資対象として貴金属に言及する際は需要状況が重要な要素になります。貴金属の価格は需要状況によって少なからず左右されるからです。
https://silverinstitute.org/wp-content/uploads/2025/04/World_Silver_Survey-2025.pdf2025年の銀の需要状況は画像の通りで、「産業」が58.1%、「投資」が19.3%、「宝飾品」が16.7%、「銀食器」が3.7%、「写真」が2.1%を占めています。
Demand Share Analysis
銀の需要シェア内訳
-
58.1%
産業
-
19.3%
投資
-
16.7%
宝飾品
-
3.7%
銀食器
-
2.1%
写真
特徴的な点は、「産業」が需要の過半数を占めていることです。総需要に占める産業需要の割合は上昇傾向にあり、従来も、そして今後も、銀価格は産業活動や景気動向に左右されやすいと言えるでしょう。
Industrial Demand Trend
銀の産業需要シェア推移
2025年 産業需要
657.4 Moz
前年比 −3%
2025年 総需要シェア
58.1 %
産業 / Total Demand
ピーク(2024年)
679.0 Moz
シェア 58.7%
出典:Silver Institute — World Silver Survey 2025 / 単位:百万オンス(Moz)
銀と株式のボラティリティ(変動性)
先ほど「銀価格は産業活動や景気動向に左右されやすい」という話をしましたが、実際に2016年~2025年の銀と株式のボラティリティを見てみましょう。
Risk Analysis
10年ボラティリティ比較
銀のボラティリティは突出して大きく、同じ貴金属の金と比較すると約2倍です。
ボラティリティの大きさは「短期間でキャピタルゲインを獲得する」ことを可能にする一方で、「短期間で大きな損失をもたらす」可能性も高くなるため、投資先として「銀」を検討する際は、自身の投資方針やリスク許容度に照らして考える必要があります。
実際、2025年末を基準とした過去40年の四半期データによると、金価格が10%下落した局面は4回だったのに対し、銀価格が10%下落した局面は18回発生しています。
銀と各資産クラスとの相関性
Correlation Matrix Analysis
銀と各資産の相関係数
| シルバー | ゴールド | 日本 株式 | 米国 株式 | 世界 株式 |
日本国債 | 米国債 | J-REIT | 米国 REIT |
|
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シルバー | 1.00 | — | — | — | — | — | — | — | — |
| ゴールド | 0.52 | 1.00 | — | — | — | — | — | — | — |
| 日本株式 | 0.10 | 0.15 | 1.00 | — | — | — | — | — | — |
| 米国株式 | 0.12 | 0.07 | 0.65 | 1.00 | — | — | — | — | — |
| 世界株式 | 0.20 | 0.13 | 0.66 | 0.97 | 1.00 | — | — | — | — |
| 日本国債 | 0.08 | 0.03 | -0.18 | 0.17 | 0.15 | 1.00 | — | — | — |
| 米国債 | -0.02 | 0.21 | -0.28 | 0.14 | 0.16 | 0.45 | 1.00 | — | — |
| J-REIT | 0.13 | 0.13 | 0.40 | 0.46 | 0.47 | 0.19 | -0.08 | 1.00 | — |
| 米国REIT | 0.15 | 0.14 | 0.34 | 0.78 | 0.78 | 0.32 | 0.37 | 0.48 | 1.00 |
銀はボラティリティの大きな資産クラスですが、他資産クラスとの相関性は比較的低く、ポートフォリオに組み入れることで投資効率の改善が見込めるでしょう。
ただし、ボラティリティの大きな資産は「短期間で大きな損失をもたらす」可能性も高くなるため、資産配分比率は低位を保つ必要があるかもしれません。
銀と株式のキャピタルゲイン(値上がり益)
銀はボラティリティが高くポートフォリオのリスクを高める一方で、キャピタルゲインの獲得に貢献する可能性がある資産クラスです。
Performance Analysis
年率リターン CAGR 比較
過去10年、20年それぞれで株式と同等のパフォーマンスを記録しており、銀を保有することでポートフォリオの期待リターンの向上が期待できます。
- 「産業」需要が58.1%と需要の過半を占めており、価格が景気動向に左右されやすい。
- 株式や金と比べてボラティリティが高く、保有比率には注意が必要。
- 株式と同等のキャピタルゲインを記録しており、期待リターンを向上させる可能性あり。